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判例

最高裁判例 充当について

次のような場合、過払い金の計算はどうなるのでしょうか?

  1. 消費者金融と契約をしてお金を借り、返済と貸付を繰り返し、あるとき完済をした(これを第1取引とします)。
  2. その後、再度同じ消費者金融と取引を再開し、貸付と返済を繰り返した。

実は、
@の取引終了のときに発生した過払い金の計算について、
貸金業者と借主は争いを繰り返し、最高裁判所もいくつもの判決を
出してきました。
以下そのいくつかを紹介します。

最高裁判所 平成20年1月28日

重要な点を紹介すると・・
第1の基本契約にもとづく取引と第2の基本契約にもとづく取引とが
事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができる場合、
充当の合意があると判断するのが相当であるとされています。

とはいえ、第1取引から第2取引開始までに約3年間の空白の期間がある場合、連続した貸付取引であると評価される特段の事情が無い限り、
充当は認められないとされています。

以下判決の原文の一部
・・・第1の基本契約に基づく貸付け
及び弁済が反復継続して行われた期間の長さや
これに基づく最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付けまでの期間

第1の基本契約についての契約書の返還の有無,
借入れ等に際し使用されるカードが発行されている場合には
その失効手続の有無,

第1の基本契約に基づく最終の弁済から
第2の基本契約が締結されるまでの間における貸主と借主との接触の状況,
第2の基本契約が締結されるに至る経緯,

第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同等の事情を考慮して,第1の基本契約に基づく債務が完済されてもこれが終了せず,

第1の基本契約に基づく取引と
第2の基本契約に基づく取引とが
事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができる場合には,
上記合意が存在するものと解するのが相当である。

 

最高裁判所 平成19年7月19日

重要な点を紹介すると・・
第1取引と、第2取引との間に約3ヶ月間の空白期間があっても、
「前回の返済から期間的にくっ付いていて、
前後の貸付と同様の方法と貸付条件で行なわれた」 ことを理由として
2個の取引全体を1個の連続した貸付取引であると認定して、
第1取引で発生した過払い金の第2取引への充当を認めています。

以下判決の原文の一部
・・・本件貸付は,
平成15年7月17日の貸付を除き,従前の貸付けの切替え及び貸増しとして,
長年にわたり同様の方法で反復継続して行われていたものであり,

同日の貸付けも,
前回の返済から期間的に接着し前後の貸付けと同様の方法と貸付条件で行われたものであるというのであるから,
本件各貸付けを1個の連続した貸付取引であるとした原審の認定判断は相当である。

そして,本件各貸付けのような1個の連続した貸付取引においては,
当事者は,一つの貸付けを行う際に,
切替え及び貸増しのための次の貸付けを行うことを想定しているのであり,

複数の権利関係が発生するような事態が生ずることを望まないのが
通常であることに照らしても,
制限超過部分を元本に充当した結果,
過払金が発生した場合には,
その後に発生する新たな借入金債務に充当することを合意しているものと
解するのが合理的である。

上記のように,本件各貸付けが1個の連続した貸付取引である以上,
本件各貸付けに係る上告人とAとの間の金銭消貸借契約も,
本件各貸付けに基づく借入金債務について制限超過部分を元本に
充当し過払金が発生した場合には,
当該過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である。

 

最高裁判所 平成19年6月7日

以下判決の原文の一部

これを本件についてみるに,
前記事実関係等によれば,
上告人と被上告人との間で締結された本件各基本契約において,
被上告人は借入限度額の範囲内において1万円単位で繰り返し
上告人から金員を借り入れることができ,

借入金の返済の方式は毎月―定の支払日に借主である被上告人の
指定口座からの口座振替の方法によることとされ,
毎月の返済額は前月における借入金債務の残額の合計を基準とする
―定額に定められ,

利息は前月の支払日の返済後の残元金の合計に対する当該支払日の翌日から当月の支払日までの期間は応じて計算することとされていたというのである。

これによれば,
本件各基本契桝に基づく債務の弁済は,
各貸付けごとに個別的な対応関係をもって行われることが予定されて
いるものではなく,
本件各基本契約に基づく借入金の
全体に対して行われるものと解されるのであり,充当の対象となるのはこのような全体としての借入金債務であると解することができる。

そうすると,
本件各基本契約は,同契約に基づく各借入金債務に対する各弁済金のうち
制限超過部分を元本に充当した結果,過払金が発生した場合には
上記過払金を,弁済当時他の借入金債務が存在しないときでもその後に
発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である。


最高裁判所 平成19年2月13日

重要な点を紹介すると・・
基本契約のない場合、特段の事情のない限り過払い金は他の債務に充当されないとし、特段の事情が認められる場合に充当が認められるとされています。

以下判決の原文の一部
賃主と借主との間で基本契約が締結されていない場合において,
第1の貸付けに係る債務の各弁済金のうち利息の制限額を超えて
利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生し
(以下,この過払金を「第1貸付け過払金」という。),

その後,
同一の貸主と借主との間に第2の貸付けに係る債務が発生したときには,
その貸主と借主の間で,基本契約が締結されているのと同様の貸付が繰り返されており,

第1の貸付けの際にも第2の貸付けが想定されていたとか,
その貸主と借主との間に第1貸付の充当に関する特約が存在するなどの
特段の事情のない限り,

第1貸付け過払金は,第1の貸付けに係る債務の各弁済が第2の貸付けの前に
されたものであるか否かにかかわらず,第2の貸付けに係る債務には充当されないと解するのが相当である。

 

最高裁判所 平成15年7月18日

重要な点を紹介すると・・
同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付とその返済が
繰り返される場合、一つの借り入れから発生した過払い金は、その当時
存在する他の借入金債務に充当されます。

そして、他の借り入れ債務の利息が法律の制限を超える場合に、貸主は過払い金が充当される元本につき、返済の約束の日のまでの利息を取得することはできないとしました。

以下判決の原文の一部
同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付けが繰り返される
金銭消費貸借取引において,
借主がそのうちの一つの借入金債務につき法所定の制限を超える
利息を任意に支払い,
この制限超過部分を元本に充当してもなお過払金が存する場合,
この過払金は,
当事者間に充当に関する特約が存在するなど特段の事情のない限り,

民法489条及び491条の規定に従って,
弁済当時存在する他の借入金債務に充当され,
当該他の借入金債務の利率が法所定の制限を超える場合には,
貸主は充当されるべき元本に対する約定の期限までの利息を取得することが
できないと解するのが相当である。

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